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0泊3日の強行出張で車載用の湾曲ガラスを事業化

先輩スタッフの声

0泊3日の強行出張で車載用の湾曲ガラスを事業化

厚木開発センター K・H

厚木開発センター K・H

2016年、取引先の電機メーカーから1本の電話が入った。とある海外の車メーカーが車内インテリアのデザインする過程で、きれいなカーブを描くガラスを求めているので、一緒に提案ができないか、というオファーだった。湾曲したガラスで、しかも安全性を重視する車載用となると、非常に難しい技術が求められる。要求どおりのものができるかどうか。そこで白羽の矢が立ったのが、厚木開発センターの担当、Kだった。

話を聞いたKは、なんとしてでも実現したいと思った。ガラスの曲げ加工はこれまでもやってきたかが、サイズの大きいものは実現できていなかったのだ。改めて、ゼロから開発方法の検討しはじめることに。ツテを頼ってタイに湾曲加工ができそうな会社を見つけ、すぐに向かうことを決めた。タイの会社にも社内のスタッフにも、「どうしても実現したい」という自分の熱意を伝えたかったため、0泊3日の超強行日程の計画を立てた。社長に出張日程を提案すると、笑って許可してくれた。

強行日程のため、ホテルに泊まる時間はない。眠るのは移動中に飛行機の中。普段どおりの業務が終わるとその足で飛行機に乗り、翌朝タイに到着して先方の会社に行き、夜に帰国したらそのまま出社した。Kはタイ語もわからないので、身振り手振りとつたない英語でなんとか説明し、タイの会社でサンプルを作ってもらうことができた。さっそく社長に見せると「これだ!」と言って驚かれた。

厚木開発センター K・H

希望が見えてきたところに事件が起きた。通称「オロナミンC事件」。お客さまが検査をしていたところ、うっかりオロナミンCのビンを湾曲ガラスの角をぶつけたら、ガラスが欠けてしまったというのだ。「車に乗る人が身につけている硬い装飾品がぶつかって割れたら危険だ」と指摘され、その通りだとKは思った。そこで、ガラスのフチを削ってアールをつけ、欠けにくくなるために加工する方法を技術者と共に考え始めた。

タイでは削り加工ができなかったので、自社でやるしかなかった。既存の装置を改造したりして試行錯誤し、削り加工をクリアし、さらに量産に対応できるように生産環境を整えて行った。最終的にはタイに頼んでいた曲げ加工も自社工場に炉(曲げ装置)を導入して内製化した。

湾曲ガラスを車載用として使うのは、ミクロだけでなく車メーカーにとっても挑戦的な取り組みだったのだろう。海外から車メーカー本社の技術部長が自ら厚木開発センターに見学に訪れた。そうして少しずつミクロで量産までできることを証明し、信頼を得ることができた。

時を経て振り返れば、大きなプロジェクトも最初の一歩はひとりのスタッフの熱意と行動力から始まったのだ。ミクロが一歩、前進した瞬間だったのかもしれない。

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